組織制御を施したAl-Mg－Si合金上へのAlO（OH）皮膜形成および特性評価

摘要

アルミニウムは、比重が鉄の1/3程度であり、比強度が高いことから、自動車の軽量化および燃費向上を目的に自動車用部材への適用が加速している。中でもボディパネル材には、塗装焼付け時の時効硬化性が求められることから、優れた時効硬化性および耐食性を兼ね備えるAl-Mg－Si合金が選択されている。Al－Mg－Si合金は、Cuの添加量が少ないと耐食性は良好であるが、大幅な高強度化は得られない。一方、高強度化を目的としてCuの添加量を増加させると耐食性が大幅に低下するという問題がある。耐食性向上のためには陽極酸化処理、化成処理などの表面処理が施されているが、いずれも化学薬品が使用されるため環境負荷が大きく、廃液の処理が必要なため高コストであるというデメリットがある。今後のAl合金の用途拡大のためには、低環境負荷、低コストである表面処理技術の開発が必要不可欠である。さらに、Al合金に対するほとhどの表面処理は室温付近で行われており、強度向上のための時効熱処理と表面処理を同時に施している研究例は極めて少ない。