Mg合金の微視的摩耗特性に及ぼす添加元素の影響

摘要

近年，地球環境に対する負荷低減の観点から，輸送機器の軽量化による燃費向上が大きな要求課題となっている，マグネシウム（Mg）は，実用金属中最軽量（アルミニウムの約2/3，鉄の約1ノ4）であり，リサイクル性にも優れるため，次世代の構造材料として注目されている．輸送機器におけるMg合金の更なる用途拡大のためには，シリンダやピストンといった摺動部への適用が要求される。Mg合金の摩耗特性に着目した研究は盛hに行われているが，Mg合金の摩耗特性と個々の添加元素の影響を調査した例は少ない．また，一般的に，摩耗や摩擦といった現象は部材表面の突起部における局所軋微視的な接触の集合体であるといえる．そのためj微視的な観点からの摩耗試験を行い，それに伴う変形機構を把握することは，材料の耐摩耗性を向上させる上で有効であると考えられる．以上より，本研究ではMg合金の添加元素に着目し，2元系Mg合金にナノスクラッチ試験を行うことで，Mg合金の微視的な摩耗特性に及ぼす添加元素の影響を把握することを目的とした．