鋳造用マグネシウム合金の機械的特性におよぼす時効処理前のプレス温度の影響

摘要

マグネシウムは実用金属中最も低密度であり，優れた寸法安定性，リサイクル性などの性質を持つことから軽量構造材料として利用増加が期待される．しかし室温延性に乏しいといった欠点もあり，特に鋳造用マグネシウム合金であるAZ91工）合金は，鋳造時に析出した粗大なβ相（Mg_(17)Al_(12)金属間化合物）により生じる割れなどが延性低下の要因と考えられる．過去にはAZ91合金均質化材に対して温度623K，ひずみ50％，ひずみ速度0．2s~(-1)の高温プレスを施す土とで18％程度の伸びを達成した報告があり1），また筆者らは，AZ91D合金鋳造板材に対して時効処理前に温度673K，ひずみ67％の高温プレスを施した後，等温で保持することで25％程度の伸びを達成している2）．これらの研究では，高温プレスを施すことで結晶粒微細化やβ相の析出が起こり，延性や強度の向上を達成している．さらに，高温プレス後に時効処理を施すことにより，耐力が向上することも報告されている3）．しかし，この研究では加工熱処理中の条件は変えていないため，本研究では時効処理前のAZ91D合金に対して温度とひずみ速度を変えて高温プレスを施し，プレス条件が機械的特性におよぼす影響について調査する。