Al－1.6％Mg_2Siの磁化の時間変化

摘要

輸送機器の軽量化は、エネルギー効率向上において重要な要素である。6000系Al－Mg－Si合金は優れた軽量性、成形性、および時効硬化性があるため自動車の材料として益々期待されている。この合金系列は1％のMg、Si溶質原子を添加し、適切な熱処理をすることで、純粋なアルミニウムと比べて機械的強度が約5倍まで上昇するという魅力的な特徴がある［1］。これまでの研究では透過電子顕微鏡（TEM）［2］、示差走査熱量測定(DSC）、断層アトムプローブ（APT）などを用いて観察を行った。それらの結果から溶質元素を核としたナノサイズで高密度の析出物が高強度をもたらし、低密度の大型析出物は強度を減少させることが明らかになった。ここで空孔の挙動は、Mg、Siの拡散とクラスタ形成を促進する重要な役割を果たしていると考えられる。Mg－Si－空孔クラスタはギニエープレストン（GP）ゾーンとして知られているMgとSiの初期析出に繋がる可能性がある。空孔とクラスタを解明することは重要であるが、それらは直接観測できないくらい小さい。