自己修復性塗膜の開発にむけた分散カプセルの合成条件とその形態

摘要

現在，金属製品の防食にはその簡便さより塗装が広く用いられているが，塗膜に損傷ができるとその部位より局部腐食が発生し，構造。性能上の大きな問題となる．そこで本研究グループでは損傷部位が自動的に修復され，塗膜による防食能が長期的に継続する“自己修復性塗膜”の開発を目指している．我々の研究グループで開発している塗膜の自己修復機構は以下の通りである．まず，高反応性液相を内包したカプセルを均一分散させた塗膜を金属基盤上に形成する．そうすることで，塗膜に微小な欠陥が生じると，同時に塗膜中のカプセルも割れ，中に含まれる高反応性液相が外部に流出する．これが空気中の水分や酸素などとすみやかに反応し，塗膜を再生させるというものである．