Mg基LPSO相に形成する変形帯に関する考察

摘要

長周期積層構造相（LPSO相）を含有するMg合金は，既存材料が示す特性を大きく上回る新規な軽量高強度合金として非常に注目を集めている．このMg合金における優れた強化相として期待されるLPSO相の塑性変形機構の一つとして，特異な「変形帯」の形成が多くの研究者により報告されている．この変形帯の起源として図1に示すようなキンク変形帯（1）である可能性がこれまでに提案されている（2－4）．しかし一方で微小サイズ力学試験等による解析等から，変形双晶が寄与する可能性（5，6）も指摘されており，未だその詳細は充分に明らかになっていない．この点を明らかにするうえでは，「キンク変形帯∴「変形双晶」の両者が示す結晶学的特徴に着目し，その比軌考察を行うことが一つの助けになると考えられる。しかしここで「変形双晶」については多くの材料における詳細な研究事例があるものの，一九「キンク変形帯」が示す結晶学的特徴塑性変形に及ぼす寄与については未だその報告例が少ない?そこで本研究では，キンク変形帯の形成が広く認知されている材料の一つであるZnに立ち返り，その内部で形成される変形帯が示す結晶学的特徴塑性挙動に及ぼす寄与について，再検討を行った。得られた結果について，これまで検討を重ねてきたMg基LPSO相中の変形帯が示す特性と比較することで，LPSO相中に形成する変形帯の起源にっいて考察した結果を報告する。また併せ，LPSO相中にて形成する変形帯がその後の変形挙軌力学特性に与える影響にっいて考察した結果についても報告する．