スルホン基修飾UiO－66を利用したレプリン酸誘導体からのラクトン合成

摘要

近年、再生可能資源であるバイオマスからの有用 化成品の合成が注目されている。セルロースをアル コール中で分解することによって得られるレプリン 酸誘導体は、水素化及び逐次的分子内脱アルコール 反応によりモノマー原料として付加価値の高いγ－バ レロラクトン（GVL）へと変換することができる。従 来、貴金属触媒（Pt，Pd，Ru等）による水素ガスを用い た水素化反応が検討されてきた。1）一方でアルコー ルを水素ドナーに利用した水素移動反応（Catalytic transfer hydrogenation）を経由すれば、より温和な条件でGVLを合成できる。本研究ではジルコニウム とスルホン基を持っリガンドから成る金属有機構造体（MOF）を合成し、アルコールを水素ドナーに用い たレプリン酸誘導体からのGVL合成を行った。MOF骨格内に組み込まれたZr酸化物種とスルホン基が それぞれLewis塩基点、Bronsted酸点として機能し、これら2つの協奏的な触媒作用により効率的にGVL を合成することを狙いとした。また、フルフラールを出発原料としたGVLの直接合成についても検討を行った。