TEM とNMR を用いたフラーレン様結晶含有AlN 前駆体物質の評価

摘要

窒化アルミニウム（AlN）粉末の合成方法として、尿素と塩化アルミニウム六水和物混合物の熱分解反応法 がある。この一連の反応は、まず室温での[Al(-OC(NH2)2)6]3+複合体結晶形成、加熱による融解、分解、揮発性 副産物の放出と進行し、アモルファス状態を経て、850°C付近でフラーレン様未知結晶が形成され、この結晶 の分解とともに約900°C以上で六方晶AlN（h-AlN）が結晶化する[1]。この前駆体物質は、多量のラジカルを 含hで反応性が高く、AlN セラミックス間のホモ接合部材として有望であり、接合温度1500°Cで80MPa 以上 の剪断強度を達成できる[1]。しかしながら、接合部にはC を多く含む領域が存在するなど、ホモ接合には至 っておらず、AlN 結晶成長に直接関与する物質の同定と高純度化が必要である。また、前駆体中のフラーレ ン様未知結晶は、Al とN を含むと予想され、新機能性物質としても期待できる。今回我々は、透過型電子顕 微鏡（TEM）と核スピン共鳴（NMR）を用いてAlN 前駆体物質の構造と結合について調べ、新しい知見を得 たので報告する。