ゾレドロン酸担持新規生体吸収性骨代替材の生体適合性および抗腫瘍性評価

摘要

骨に転移した癌細胞が放出するサイトカインにより、破骨細胞が活性化され、過剰な骨吸収が引き 起こされることで、癌細胞が転移、増殖しやすい環境が生み出される。現在の骨転移癌の治療法には、腫瘍部 分を切除し、切除部位を骨代替材で置換する方法が用いられているが、その方法では、切除しきれなかった癌 細胞の増殖を抑制することができないだけではなく、破骨細胞の活性を制御することも困難である。そこで、 我々は、骨補填材に生体吸収性の高い -リン酸三カルシウム（ -TCP）を用い、これに抗腫瘍効果を有するイ ノシトールリン酸 (IP6) と破骨細胞の活性を阻害する Zoledronic acid (ZOL) を担持させることで、材料の吸収 と共に薬剤を徐放する骨転移癌に有効な新規生体吸収性骨代替材 (ZOL-IP6/ -TCP)を開発することを目的と した。本研究では、ZOL-IP6/ -TCP 粉体の材料特性評価および生体適合性、抗腫瘍性評価を実施したので、そ の結果を報告する。