アルミナ焼結時の顆粒性状に由来する粗大欠陥発達と強度への影響

摘要

高性能·高信頼性セラミックスを製造するためには，性能と信頼性を損なわせる原因である粗大 欠陥の発生と発達を抑制する必要がある．我々はこれまでに，顆粒プレス成形で作製した成形体から焼結体 までの内部構造変化をマイクロ X 線 CT の連続観察を行い，焼結に伴う粗大欠陥の発達過程を報告した．焼 結の初期から中期の段階で，顆粒内の焼結が低温で開始し，その後，顆粒間が粗大欠陥となる様子を明らか にした．ただし，すべての顆粒間隙が粗大欠陥にはならず，選択性がみられた．この原因は，成形段階での 顆粒間隙の不均一や顆粒径の分布が原因であると考えられる．そこで本研究では，性状の異なる顆粒を用い て，焼結に伴う粗大欠陥発達の選択性の原因について検討すること，およびそれらの機械的特性への影響を 明らかにすることを目的とした．観察には，サンプル内部を非破壊で観察できるマイクロ X 線 CT の他に， 光学顕微鏡および FE-SEM を用いて，同じ個所の構造変化を追跡した．