ダイナミックオーロラ PLD法によるコバルトフェライト添加 チタン酸ストロンチウム薄膜における自発的相分離

摘要

我々はダイナミック PLD（磁場中での PLD）装置を用いて SrTiO3(001)単結晶基板上にエ ピタキシャル成長させた A サイト過剰(Sr/Ti=1.4)の SrTiO3(ST)薄膜では膜厚方向に Sr/Ti 比の異な る２相への相分離（自発的な超格子構造の生成）が生じること[1]、MgO(001)基板上にエピタキシャ ル成長させた CoxFe3-xO4(CoF)薄膜では Co-rich と Co-poor の２相に相分離したバルクへテロ構造が 生じること[2]を報告してきた。これらの現象は成膜時にスピノーダル分解が生じると考えることで 説明できる。すなわち、スピノーダル分解を生じさせる組成波が前者では膜厚方向のみに、後者で はランダムな方向に伝搬することで生じる。本研究の目的は、Aサイト過剰ST にCoF を添加した 複合薄膜をエピタキシャル成長させた際に生じるスピノーダル分解を明らかにすることにある。