トポタクティック反応による層状ビスマス酸硫化物の超伝導化

摘要

近年、Bi4O4S3、REOBiS2などの BiS2層を超伝導層とする化合物が報告され、注目を集めている[1] 。 これらの化合物は鉄系超伝導体と同様にブロック層の構造に多様性を持ち、フッ素ドープにより超伝導を示 すことが報告されている。一方、REOBiS2 と同じ構造を持つ Bi2OS2 [2] は、結晶構造が報告されているのみで 物性は明らかになっていなかった。そこで我々はこの物質に着目し、キャリアドープ及び物性解明を試みて きた。固相反応ではこの物質のフッ素置換体 Bi2(O,F)S2 の単相試料合成は困難だったが、まず単相の Bi2OS2 試料を合成し、XeF2 を用いたトポタクティック反応により低温（~400°C）でフッ化することで、Bi2(O,F)S2 単相試料の合成に成功し、この物質が Tc ~5.1 Kのバルク超伝導を示すことを明らかにした[3] 。今回は、トポ タクティック合成した Bi2(O,F)S2 に対し高圧アニールを施して特性の変化を評価した他、XeF2 を用いたトポ タクティック反応を LaOBiS2 など他の BiS2 系化合物に適用したのでその結果について報告する。