金属酸化物クラスターを担持した TiO2における 可視光での量子効率の向上

摘要

近年、Cu(II)や Fe(III)からなる酸化物ナノクラスターを担持した TiO2 において、可視光の照射下で高い酸 化分解活性を示すことが報告された。1), 2) これらの材料は「界面の光励起」と「還元反応の促進」の二つの 指針に基づいて設計され、安全·安価な元素からなり大量生産も容易であることから、室内照明で機能する 超親水材や抗菌·抗ウイルス部材としての応用が期待されている。3), 4) 本研究では、これらの光触媒の室内 での利用範囲を広げるため、更なる量子効率の向上を目的とした。効率を高めるため、本研究では特に酸化 側の反応に着目し、Cu(II)や Fe(III)クラスターの還元触媒に加え、更に正孔の反応を促進するような異種クラ スターの担持を検討した。その結果、酸化助触媒として Ti(IV)のクラスターが有効であることを見出し、そ の構造や作用機構について報告する。