AgNbO3の電場誘起強誘電相転移に関する第一原理計算

摘要

AgNbO3は，2007 年に Fuら により52 μC/cm にのぼる大きな自発分極と強電界下での 大きな歪みが報告されて以降，非鉛圧電材料の候補として注目を集めている．しかしながら，この AgNbO3 は Perovskite 型結晶構造を有する反強誘電体として従来報告されており，その構造は中心 対称性を有する空間群 Pbcm とされており，室温付近で報告されている強誘電性の起源については 今だ議論がある．著者ら２）は， 第一原理計算を用いて検討を行い，AgNbO3 の室温相（Pbcm）に は強誘電ソフトモードが存在せず，ソフトモード機構による強誘電体相転移では AgNbO3の強誘電 体相転移を説明することはできないこと，また， AgNbO3は，Ag 空孔と酸素空孔が導入されやす く，従来から指摘されている欠陥機構による強誘電性の可能性も排除できないことを報告してきた． 本研究では AgNbO3の電場誘起強誘電相転移の可能性を検討するために，電場印可下での安定構造 を第一原理計算により検討した．