硫化物系固体電解質薄膜を用いたバルク型全固体リチウム二次電池における 正極複合体の微細組織観察

摘要

バルク型全固体リチウム二次電池は、高エネルギー密度を有する次世代型の蓄電池として注目されており、 電気自動車など大型電源への応用が期待されている。これまで我々の研究グループでは、高いイオン伝導度 と良好な成形性を有する硫化物系固体電解質を用いた全固体電池に関して研究を進めてきた。電極活物質、 固体電解質の粒子を混合したバルク型全固体電池において、固体間の界面形成は電池構築の際に重要となる。 当研究室のこれまでの取り組みとして、パルスレーザー堆積法（PLD 法）を用いて Li2S-P2S5系電解質薄膜を LiCoO2粒子上にコートし、それを用いた全固体電池が二次電池として室温下で作動可能であることを報告し てきた [1]。 また、 PLD法により作製したLi2S-GeS2-P2S5系電解質薄膜は、 200 o Cで熱処理することで10-3 S cm-1 オーダーの高いイオン伝導度を示し [2]、それを LiCoO2粒子上にコートすることによって、電池のより一層 の高エネルギー密度化が図れることを示してきた[3]。本研究では特性向上の要因を明らかにするために、全 固体電池の充放電特性や界面抵抗および電極層微細構造について調べることで、LiCoO2粒子上の硫化物系固 体電解質薄膜のイオン伝導度やコーティング量の大小が、電池性能に及ぼす影響について検討を行った。