高輝度化に向けたトンネル構造を有するアップコンバージョン蛍光体の合成

摘要

アップコンバージョン(UPC)蛍光体は、近赤外光等エネルギーの弱い光を励起光として多光子·多段階励起に より、励起光より強いエネルギーの光を放出する物質である。UPC 蛍光体としては、NaYF4:Er ~(3+),Yb~(3+)等のフ ッ化物が高輝度を示すことが多く報告されているが、容易に合成が可能な酸化物では低輝度なものがほとh どである。当研究グループでは、高輝度 UPC 発光を示す母体として YTa7O19を報告している。YTa7O19は層 状構造を有し(Fig. 1a)、エネルギー移動が希土類層内の二次元方向に制限されることでエネルギー損失が抑え られると考えられる。そこで、本研究では、希土類サイトが一次元的に分布したトンネル構造を有する K2LaNb5O_(15) (Fig. 1b)を合成することで、希土類サイトの分布が発光特性に与える影響を調べた。