有限要素解析を利用した生体内分解性マグネシウム合金製ステントの創製

摘要

マグネシウムは近年、生体内分解性生体材料として大きな注目を集めているものの、結晶構造の高い異方性に起因した低延性が実用化への高いハードルとなっている。これまで、工業用構造材料への適用を目指し、強度および延性を改善したWE43 合金などが開発されてきた。しかしながら、希土類元素の多量添加による生体為害性の発現が危惧されることから、希土類元素を使用しない、マグネシウムの高強度化、高延性化が求められる。近年、元素戦略の観点から試行された、マグネシウムへの亜鉛およびカルシウムの複合添加が高延性化および、高靱性化に寄与することが報告されている。亜鉛およびカルシウムはいずれも生体必須元素であることから、本合金系は生体材料としても有望であると考えられる。そこで、本研究では、比較的高い延性を示すマグネシウム－亜鉛－カルシウム合金の生体材料への適用の一例として、有限要素解析を援用した、マグネシウム合金製生体内分解性ステントの開発を試みた。