2N11 SLATSおよび全大気GCMによる超高層大気密度の研究

摘要

SLATSをはじめとする低高度地球観測衛星，国際宇宙ステーションや HTV などの低高度を飛翔する宇宙機の安全な運用にとって，大気抗力の正確な推定は非常に重要である．現在では, 大気抗力の推定には経験モデルが広く用いられている．しかしながら, 経験モデルで得られる大気密度の精度については，どのような観測データを使い，どのように解析処理したか，などについて不明な点もあり，大気密度の時空間変動を正しく表現できない場合がある．特に，衛星による観測の少ない高度150－300㎞領域においては，経験モデルによる大気密度の精度についてはよくわかっていない部分が多い．一方で，経験モデルとは別に，物理法則に基づいた数値モデルの開発も近年盛hになってきている．数値モデルを用いて，下層大気や太陽放射?太陽風変動に伴う超高層大気密度変動の見積もりが試みられており，従来は得られなかった大気密度の空間?時間変動の表現が可能となってきている．また，数値モデルでは，大気密度変動を引き起こす物理過程を詳細に調べることが可能である．近年になって数値モデルは，大気密度を見積もるためのツールとして期待されている．