信楽MUレーダーを用いたスペースデブリ 三次元形状推定手法に関する研究

摘要

現在，衛星の破片や打ち上げに使用された投棄機材な どの宇宙ゴミ(スペースデブリ，以下デブリ) が急増し ており，その総数は数mm 程度のものを含めると数百 万個以上であると予想されている．デブリは秒速7 km もの高速で地球周回軌道を周回しており，数mm 程度 の微小なデブリでも衝突によって人工衛星に障害を引き 起こす危険性がある．さらに，デブリはデブリ同士の衝 突と破壊による自己増殖を引き起こし，これが連鎖的に 起こることで爆発的にデブリが自己増殖する，ケスラー シンドロームと呼ばれる状態に陥ることが危惧されてい る1)．このように，デブリは宇宙開発において大きな障 害となる可能性があり，デブリ環境の把握は持続的な宇 宙開発における非常に重要な課題である．現在，米国や 欧州の組織によってデブリ情報のデータベース化が進め られているが，2009 年にはデブリと通信衛星の衝突事 故が発生しており，依然としてデブリ観測網の強化?高 精度化が必要である．また，事故防止に向けた取り組み としてデブリの除去も提案されているが，デブリ除去の 実現にはデブリの軌道，形状，材質など多くの情報が必 要とされており，これらの情報を取得するための広く一 般に知られた手法は未だ確立されていない．