超高密度実装エレクトロスプレースラスタのための微細キャピラリ?ニードル型エミッタ電極の作製

摘要

2010 年代に入り，超小型衛星 (1–50 kg) の打ち上げ数が急激に増加している．この理由の一つとして，超小型衛星は低コストかつ短期間での開発が可能であり，大学や中小企業による参入が容易になったことが挙げられる．超小型衛星が行うミッションは多岐にわたるが，近年では複数の衛星を連携させて運用する衛星コンステレーションや深宇宙探査等の高度なミッションが計画および実施されている．これらのミッションでは軌道制御を行うための推進機が必要である．超小型衛星の中でも，比較的大きな50kg 級の衛星に推進機を搭載した例として，東京大学によって開発された小型イオン推進システム(MIPS : Miniature Ion Propulsion System) が挙げられる．MIPS は50 kg 級の超小型衛星「ほどよし4 号」に搭載され，2014 年に宇宙作動実証に成功した．一方で，超小型衛星の打ち上げ数の大部分は10 kg 以下の超小型衛星が占めている．従来型のイオンスラスタ等の推進機は，高圧ガスタンクやガスバルブ等が必要になる気体推進剤供給系をもち，これらの小型化には限界があるため，10 kg 以下の超小型衛星への搭載は困難である．