カエデの種型風車の開発における材料力学と流体力学検討からの最適なブレードに関する研究

摘要

近年，地球環境問題が深刻化するなかで，東日本大震災の福島第一原発事故の影響もあり，再生可能エネルギの推進が注目されていることに対して，風力発電は世界的に重要な発電システムの一つとして注目されている．特に，日本風力発電協会の目標とする2050 年までに風力発電による電力量供給比率を，全需要電力量の10%以上にするためには，立地場所に制約を受ける大型風車のみに頼るだけではなく，都市部や家庭に設置できる小型風力発電の普及が必要不可欠になっている．そこで，これらの解決，向上のために島田らは，先の研究で，カエデの種の落下よりヒントを得た新しいブレードを提案した．家庭等において実際にカエデの種型小型風車を活用する場合には，出力の規模から考えて市販されている小型風車と同等の数100 W～2 kW 程度の出力をもつ，より大きな風車直径での風車特性を調べておく必要性がある．その際，実用化を念頭に置きつつ，風力によるブレードの耐久性から，CFRPでブレードを製作する必要がある．そこで本研究では，ロータ直径が約 1.1～2 m 程度のCFRP 製のカエデの種型風車を開発することを目的として，ブレード周りの流体数値解析結果に依存するブレードにおける材料力学的数値検討を行い，最適なブレードの指針を得た．最後に，大型風洞により検証を行った．