弾性異方性を考慮した断層画像を基にした腰椎モデルの脊椎分離症解析

摘要

若年スポーツ選手の腰痛の原因として脊椎分離症がある．脊椎分離症とは，激しい運動などに伴い主に関節突起間部に起こる骨折である．腰椎に発生する応力場を解析することは，患者の病態把握や治療法の選択，疾患の予防などに有効である．本研究ではこれまでに，X線CT画像を基に腰椎の構造モデルを構築し，有限要素法解析を用いて，腰椎に発生する応力場を算出する方法について検討を行ってきた．過去に作成した構造モデルでは，腰椎の皮質骨の異方性を全体座標系の軸を基に入力することで再現してきたが，今回作成した構造モデルでは，皮質骨の異方性を腰椎の表面の法線方向に強い材料定数として再現するために，腰椎表面の皮質骨をシェル要素で作成することで，表面の要素ひとつひとつに座標系を持たせ，その座標系を基に材料定数の入力し，脊椎分離症の応力場解析を行なった．過去に作成した構造モデルの解析結果と比較をすることで，皮質骨の異方性の再現の仕方による違いが応力場に及ぼす影響について調べ，考察を行なった．また，年齢，性別の異なる人の分離症解析の結果を比較することで，腰椎構造が分離症に与える影響を調べた．