フルラップ前面衝突試験およびオフセット衝突時試験に関する調査

摘要

日本の交通事故の死者数の内，約1/3が車両乗車中の事故（図1）であり，前方方向は53%と高い割合を占めている（図2）．日本国内で新しい車両を販売するには，道路運送車両法に定められる基準を満足している必要がある．その中でも，車両が前面衝突する際に客室内にいる乗員の安全性を確認する衝突試験形態は，フルラップ前面衝突試験およびオフセット前面衝突試験がある．フルラップ前面衝突試験は1999年に我が国に導入され保安基準の技術基準別添23にて定められている．この試験は米国自動車安全基準FMVSS208を基に我が国で作成され，日本独自の基準である．オフセット前面衝突試験は，2007年に我が国に導入され，UN基準協定規則第94号に基づき試験を行い，安全性の確認を行っている．このフルラップ前面衝突試験およびオフセット前面衝突試験の2試験形態に焦点をあて，認証時に試験を実施した際の傷害値がどの程度であったかをまとめたものは現在ない．そのため，車両開発，自動車技術会における学術や教育の基礎資料に資することを目的としてこれを統計化し，以下報告をする．