ワイヤレス歩行動作解析装置を用いた履物の違いによる歩行動作解析－若年·高齢被験者による違い

摘要

日常生活の様々な場面において，履物は必要不可欠であり，その種類や用途も多様である．近年，アウトドア活動の快適さや健康増進を目的とし，裸足時の自然な足の動きに近い感覚が得られるように足の指先が分かれているベアフットシューズが販売されていたり，動き易さ，履き心地を重視した運動靴などが市販されたりしている．また，とび職などの専門職に利用されている地下足袋などもあるが，これも自然な動作が可能となる効果が期待されているためと考えられる．これらの履物には，それぞれ固有の特性があり，スポーツシューズにおいては運動学的な研究も行われていることが多いが，自然な動作が期待される履物においては，生体力学の観点からの研究はまだあまりなされていない．そこで本研究では，履物が生体に及ぼすと期待されている効果が実際に見られるのかどうかを調べるために，生体力学の観点から履物が歩行動作にどのような影響を与えるのかを解析することを目的とした．具体的には，これまでの研究と同様に小型の加速度·角速度センサを内蔵したワイヤレス型の歩行動作解析装置を用いて平地歩行時の，歩行周期や歩行速度などの歩行動作基礎特性と，歩行タイミングに合わせた体幹の進行方向への歩行時加速度波形を計測し，履物の違いによる歩行動作の違いを解析した．この結果を解析することで，履物の違いが歩行動作に与える影響を評価した．今回の研究では，被験者として，若年者と高齢者を対象とし，これらの被験者群の違いによる影響と，履物の違いによる影響とを合わせて解析した．