(J65-1227)マルテンサイト変態と動的ひずみ時効を起こすFe-Cr-Ni 基準安定オーステナイト鋼の疲労挙動Fatigue behavior of Fe-Cr-Ni-based metastable austenitic steels: effects of martensitic transformation and dynamic strain aging

摘要

マルテンサイト変態を活用した低サイクル疲労特性の向上として、最近NIMS の澤口らの研究開発チームは疲労寿命10 倍の画期的成果を見出し、制振ダンパー用新合金として社会実装を達成している1)。また九州大学の野口らの研究グループは動的ひずみ時効（DSA）の活用によってFe-C 合金の疲労強度（疲労限）が増大することを見出している2)。このように近年、金属疲労についての新発見·新知見の報告が多く、金属疲労研究は新たなステージにある。鉄鋼の疲労限の向上には、降伏応力や引張強さを上げるという経験的方策が長くとられてきた。本研究では、マルテンサイト変態と動的ひずみ時効を活用すれば、引張強さが一定であっても疲労強度を大きく向上できることを示すとともに、相変態としてマルテンサイト変態を合金元素として炭素を活用して、耐疲労性を付与するための新たな指導原理の構築に貢献することを目的として行った。（なお、本研究の成果は文献3）に公表済みである）