(J40-1339)中炭素ラスマルテンサイトのバリアント選択とバリアント境界形状Variant selection and variant interface shape of lath martensite in a medium carbon steel

摘要

中炭素鋼ラスマルテンサイトは工具鋼などの素地として用いられており，マルテンサイトの下部組織であるパケットやブロックの微細化が強度や靭性などの機械的特性の改善に寄与すると考えられている．パケットやブロックの構造はマルテンサイト変態時の核生成と成長に伴って発達し，特にマルテンサイトにおける近接バリアント選択はブロックの粒界性格やパケット構造を変化させるため，組織形成過程解明と力学特性制御の両面で重要となる．低合金鋼の中炭素域ではフェライトの変形双晶に近い方位関係となるバリアントペアが高い頻度で観察されることが知られているが[1]，そのペアを含むバリアント界面については不明な点が多い．本研究では双晶に近い方位関係のバリアントペアを中心に，中炭素鋼マルテンサイトにおける組織形成を近接バリアント選択とバリアント境界形状の評価を通じて明らかにすることを目的とする．