京都市伏見区における街頭犯罪と侵入犯罪の発生場所の特徴の違い

摘要

犯罪と空間の関連を定量的に検証する試みとして，GIS を 用いて街頭犯罪を中心とした分析が盛hに行われている．た とえば筆者は，京都市伏見区を中心としたひったくり犯罪の 発生場所には，駅から流動する推定歩行者数の他に，建物用 途とファサードの開ロ部などの大きさが関連していることが 明らかになった1)．こうした建物の属性は，建物への侵入犯 罪の抑止と密接に関連している．例えば，開ロ部が少ない住 宅は，それ自体の防犯性能は高いかもしれないが，街路に対 する自然監視性が低いと考えられるので，街頭犯罪の抑止効 果は低いかもしれない．このような検討を行うためには，侵 入犯罪の発生場所と空間構成の関係を分析する必要があるが， 侵入犯罪の発生地点のデータの入手が難しいこともあって， 研究が進hでいないのが現状である．