一点係留された浮体式洋上風車の風?流れ共存場における振れ回り運動に関する研究

摘要

浮体式洋上風車は遠浅な海岸線が少なく急峻な海底地形が多い日本近海の海域に適しており，再生可能エネルギーの中でも飛びぬけた導入ポテンシャルを有した発電方式である。本研究では浮体式洋上風車の係留方法のひとつである一点係留方式に着目した。一点係留方式とは浮体の係留点が一点に纏められた方式であり，風車に風のみが当たった場合，風に正対するように係留点を中心に浮体自身が回転することが知られている． 1)これにより，風車のナセル部分のヨー制御モータ及びギアが不要となるため，ナセル部分の軽量化が見込める。さらにナセル部分の故障率は洋上風車の故障の中で45%と非常に高いため2)、ナセル構造を簡略化することによって維持コストの削減が期待できる。一点係留機構を有する浮体式洋上風車の注目度は高く，2018 年現在でも様々の機関がプロジェクトに着手している。しかし，その一方で実用化には未だ至っていないのが現状であり，その背景として，風や波，海流などの様々な要因が入り混じる実海域において，研究があまり進hでいないことが挙げられる．