直動転がり案内の減衰能評価方法に関する研究

摘要

直動転がり案内は，滑り案内に比べて低摩擦で，かつ静摩擦と動摩擦との差が小さいためスティックスリップ現象が起きないことが特長である．また，滑り案内では必要となるきさげ加工が不要でありメンテナンスも容易である．そのため，今日では直動転がり案内が滑り案内に取って代わり，多くの工作機械や半導体製造装置の直線駆動部に使用されている．しかし，これら精密加工機の加工精度に大きな影響を与える直動転がり案内のラジアル方向の減衰能は，周波数応答関数や対数減衰率を用いて評価されるに留まっており，定量的な評価をした報告は少ない．本研究では，直動転がり案内のラジアル方向の減衰能を，減衰比として定量的に評価する方法を提案する．送り駆動機構の数学モデルを構築し，その数学モデルを用いたシミュレーションと実機計測で得た実験データとから直動転がり案内のラジアル方向の剛性および減衰能を同定する．