交通振動に対する住宅床の体感振動評価に関する研究(その6：鉛直振動と水平振動の複数軸が同時暴露された場合の評価方法に関する基礎的検討)

摘要

本報では，実住宅で発生する振動を対象として，鉛直振動と水平振動の複数軸が同時に知覚閾を超える場合の振動感覚に及ぼす影響について基礎的検討を行った。その結果，本報の検討範囲では，水平振動に9dB～11dB を加算した上で，鉛直振動と水平振動をエネルギー合成することで知覚度合との対応が高まる可能性があることがわかった。また，三輪らの研究7)において，鉛直振動と水平振動の同時暴露ではないが，振動感覚差について検討されており，鉛直振動感覚は水平振動感覚よりも強く，16Hz 以上では10dB の差があることが報告されている。他にも，居住性能評価規準2)のランク設定おいて，「あまり不快でない」の鉛直振動と水平振動に2 ランク程度の差が生じている。今後は，決定周波数等の周波数特性の違いによる振動感覚差の違いや鉛直振動と水平振動が最大となる時間を合わせて合成した方が良いか否か、鉛直振動と水平振動のレベル差の影響，鉛直振動≤水平振動の場合について検討していく予定である。