超磁歪素子を用いた流体潤滑軸受用ピストンポンプの開発

摘要

静圧軸受は加圧流体を用いることで軸やステージを非接触に支持できるため，高い運動精度が得られ半導体露光装置やホログラム露光装置に多く利用されている．特に近年では露光を真空中で行うことが検討されており，静圧軸受を真空中で使用することが必要となってきている．研究者らは，真空中で静圧軸受を用いる場合，潤滑流体として蒸気圧の極めて低いイオン液体を用いることを提案している．しかし気密性の保持やイオン液体の価格の問題により，従来の油圧系に使用してきたアキュムレータや油圧ポンプを使用することが難しい．そこで本研究では超磁歪素子を用いた流体潤滑軸受用ピストンポンプを提案する．提案するポンプ機構はフィードバック制御などの制御が可能な超磁歪素子をポンプのピストン駆動のアクチュエータとして用いている．また提案するポンプ機構は二台のポンプで構成することにより，アキュムレータを用いずに脈動の低い加圧流体を静圧軸受に供給することが可能である．本研究では，提案するポンプ機構を実際に静圧軸受に適用した場合の軸受性能を実験的に明らかにするとともに，その有用性の確認を行った．