腕時計型光電脈波センサにおける体動成分の分析と補償

摘要

日常生活において心拍情報を取得，利用することに対するニーズが高まっている．電気的な心電図計測は信頼性が高いが心臓を挟hだ位置に電極を接触させる必要があり，胸に電極を貼り付ける，胸にバンドを装着する，といった方法や，スポーツトレーニング機器のように両手で電極を握るというような方法に限定されている．光電脈波計測は指先や耳たぶにおける計測は実用化されているが，どちらも日常生活においては拘束感が強い．腕時計型のセンサで手首において光電脈波が計測できれば実用的であるが，手首は毛細血管が指先や耳たぶに比べて少なく光電脈波の信号が小さい上に体動の影響を受けるため，実用化に至っていない．体動が光電脈波信号に及ぼす影響は先行研究で分析しているが，光電脈波は指先で計測したものであり，手首部で計測する光電脈波に対する影響と異なることが予想される．本研究では，定常的一定周波数で振動的に前腕部を動かしている間に手首部で光電脈波と加速度を同時に計測し，加速度信号に適当なゲインと時間差を与えて光電脈波信号から差し引き，体動の影響が最も小さくなるゲインと時間差を探索することにより，体動が手首部の光電脈波計測に及ぼす影響の特性を調べた．