マグネシウム合金圧延材のプレス成形市場創成に夢を馳せて - 成形性の面白さと課題

摘要

著者らは、溶解·鋳造（中央工産）～熱間圧延（大同特殊鋼）～温間圧延（日本金属）の国内ネットワークを構築し、圧延マグネシウム合金薄板コイルの商業生産·販売を行っている。この工程の特徴は、厚さ150mmの鋳造スラブを母材として、熱間圧延と温間圧延を経て、厚さ3mm～0.045mmの薄板圧延コイルを製品化している点で、総圧延率は99.3～99.9%となり、微細結晶粒化に加えて急峻な集合組織強化が作用し、240MPa以上の高耐力AZ31Bを得ている。マグネ事業を開始したのは2002年4月である。サーボプレスを用いた温間成形を前提とするため、新規の設備投資が必要であり、また構造体製作に必要なボス溶接や耐食表面処理等のインフラ技術も充分でなかったため、プレス成形市場の拡がりは遅々たるものであった。しかし昨今、プレス成形を検討開始した加工ベンダーが増え、それを取り巻く多くの支援技術が開発されており、セットメーカーの意識もプレス成形に向きつつあるように思う。ここでは、Mgが理想的軸比をもつ稠密六方金属であるが故の室温成形能の制約、温間成形を高める上で必須な条件である強化機構、それに温間成形の不思議さと面白さを述べ、材料屋に残された課題についても触れる。