J-PARC大強度中性子源の液体水素循環システムの現状と大強度試験結果

摘要

J-PARCの大強度中性子源は，加速器からの陽子ビームを水銀ターゲットで受け，核破砕反応による中性子で中性子散乱実験を行う利用施設である。ターゲットで発生した速中性子を液体水素減速材で冷中性子に冷却するために，液体水素循環系（1.5MPa，18K)とヘリウム冷凍機（6kW at 17K, 1.6MPa, 270g/s)から成る2元冷凍システム「液体水素循環システム」を2008年から運転している（Fig,1)[1]。2015年から運転中に生じたヘリウム冷凍機内の熱交換器と内部吸着器(ADS)の圧力損失上昇は冷却性能を劣化させたが，ヘリウムガス中の油分の局所的な蓄積が原因とし，2016年夏季に対策した熱交換器のフロン洗浄とADSの交換によって冷凍機性能が回復した[2]。その後，圧力損失は増加せず，今年1月から7月まで最長の約175日連続運転を行うことができた。