無絶縁巻線技術に基づく積層型高温超電導コイルシステムの設計：非対称に分割されたコイル巻線の局所的インダクタンス計算法

摘要

無絶縁高温超電導卷線技術（No-insulationコイル，以下無絶縁コイル）は，高温超電導コイルの高電流密度と高熱的安定性を同時に実現するコイル化技術として，2011年にMITのハングループにより提案された。この技術の成立性と有効性を検証するために，我々は，大規模網状回路解析法に基づく電流分布解析および二次元有限要素法に基づく温度分布解析を連立し，無絶縁コイル基礎特性を明らかにする解析プログラムを開発した。しかし，その解析プロプラムはコイルの周方向に対称なメッシュしか導入できなかったため，メーター級大口径高温超電導コイル，あるいは積層型高温超電導コイルシステムの常電導転移特性解析に応用されると，（周方向分割数×巻数×積層数）~2の程の巨大なマトリクスを数百回から数千回に繰り返し計算する必要があった。その原因により，常に解析マシンのメモリオーバを引き起こしている。この課題を解決するために，メッシュの数を減らすともに解析精度を最大限に保証することが最も重要である。そこで，我々は，非対称なメッシュ(Fig.1)，即ち，発熱部あたりに緻密なメッシュ，その他の部分に粗いメッシュを導入することで，数値計算の負荷を低減することを提案した。今回は，非対称なメッシュを導入時，コイルの局所巻線同士間のインダクタンスの計算法について詳細に報告する。