対向流雰囲気中における電線被覆上の火炎燃え拡がリ限界

摘要

長期的に安定した有人宇宙ミッションを遂行するにあたり，宇宙構造物における火災安全性を確保しておくことは重要な課題の一つである.現在，宇宙船内で使用される材料にはNASA標準規格の材料難燃性評価試験[1]が設けられており，原則として当試験に合格した材料以外の持ち込みは制限されている.しかしながら，当試験は地上場で実施されており，宇宙空間の主な特徴の一つである微小重力場における材料の難燃性を十分に評価できているとはいい難い.そこで，現在JAXAが進める第3期きぼう利用重点課題FLAREプロジェクト[2][3]では，可燃性固体の難燃性を表す代表的な指標の一つである限界酸素濃度(LOG)に着目し，地上場の再現性の高い燃焼試験から取得されるデータを基に，微小重力場におけるLOCを推定する手法の開発に取り組hでいる.その中で著者らは，宇宙船内において火災発生源となる危険性が高い電気配線等の燃焼現象に着目し，最終的には電線材料に関する微小重力場のLOC推定方法を確立することを目標としている.