高含水率エマルシヨン液滴の高温壁面上におけるミクロ爆発挙動の解析

摘要

現在，幅広い分野で使用されている内燃機関などの噴霧燃焼機器において，環境負荷物質の排出低減を実現する燃焼改善技術の一つに，エマルシヨン燃焼法がある.エマルシヨンとは，界面活性剤を利用して液体燃料を水乳化させた燃料である.エマルシヨンには，火炎温度の低下や二次微粒化現象の発生といつた燃焼特性があり，窒素酸化物やすすの排出低減が期待される.これまでエマルシヨンに関しては，懸垂液滴や高温壁面上での液滴を対象として蒸発，燃焼，ミクロ爆発挙動について多くの研究が行われてきた.高温壁面上における液滴は，懸垂線の影響を受けないことや，実際の燃焼機器類において噴霧された燃料の一部は燃焼室の壁面に付着することから，この現象を解明することは重要である.著者らのグループでも，高温壁面上におけるエマルシヨン液滴を対象に，含水率，液滴径，壁面温度，界面活性剤濃度，燃m生状といった様々な因子が液滴の挙動に及ぼす影響を調べてきた[14].本研究では高温壁面上において高含水率O/W(水中油滴）型エマルシヨン液滴が球状蒸発する様子を，高速度カメラにより詳細に観察するとともに，分裂について統計的に解析することを目的とした.また，著者らの報告のとおり，エマルション液滴の二次微粒化現象をミク口爆発と総称し，小規模なミクロ爆発をパフイング，大規模なミクロ爆発を分裂とそれぞれ称している[5].