Pd 系金属ガラスを用いた高速応答?低消費電力 容量型MEMS 水素センサ

摘要

近年、地球温暖化防止などの観点から水素をエネルギー として利用する、いわゆる水素社会に向けた取り組みが世 界的に行われている(1)。一方で、水素は可燃性ガスであるた め、漏洩時には速やかに検知する必要があり、高速応答の水 素センサが求められる。また、バッテリー駆動などで常時モ ニターを行うためには低消費電力であることが重要であ る。従来の水素センサとして、接触燃焼式、酸化物半導体式、 熱伝導式など(2)が主流であるが、いずれの方式も水素をセン シングする際にヒーターによる加熱が必要であるため低消 費電力化が困難であった。その観点からパラジウム(Pd)を用 いた水素センサが報告されている(3)(4)。Pd は水素吸蔵合金 の一種であり、水素の吸蔵により電気抵抗や機械的歪みが 変動することが知られている。また、室温においても水素を 吸蔵するため、超低消費電力の水素センサを実現できる可 能性を有している。また、センシングの方法としては、消費 電力の観点から抵抗型より容量型が優れており、我々はPd を適用した容量型MEMS 水素センサを提案している(5)。一 方でPd は吸蔵した水素が抜けにくいというヒステリシス の問題を持っている(6)。そこで本稿では、図1 に示すよう に、感応膜としてPd系金属ガラスを適用した容量型MEMS 水素センサを報告する。まず初めに感応膜の検討結果につ いて述べ、次に容量型MEMS 水素センサの動作原理及びシ ミュレーション結果について報告する。最後に、試作結果及 び実測結果について述べる。