IB-LBM を用いたトンボを模した羽ばたき翼-胴体モデルの旋回飛翔の数値計算

摘要

昆虫の羽ばたき飛翔は，空中停止 (ホバリング) や急旋回，急発 進など高い運動特性を持つため，災害観測や火星探査において活 躍が期待されている超小型飛行体への応用が見込まれている.(1) 昆虫の中でもトンボは，安定的に飛翔する能力や優れた機動性等 の，特に高い飛翔性能を獲得している．その要因としては，前翅 と後翅の羽ばたき運動の位相差や，4枚の翅がそれぞれ独立に羽ば たき運動，迎角の運動，リード?ラグ運動を行えることなど，様々 な要因が挙げられる．Minami らは，3 次元トンボモデルの数値計 算により，前翅と後翅の位相差が運動方向，揚力，推力にどのよ うに影響を与えるか調べ，さらにリード?ラグ角によるピッチン グ回転運動の制御の計算を行い，3次元トンボモデルが安定的に飛 翔することを明らかにした.(2) また，Hirohashi とInamuro は， Minami らの3次元トンボモデルを用いて，位相差とストローク角 をモデルの位置に応じて動的に変えることにより，そのモデルが ホバリング飛翔することを示した.(3) その際，左右の流れ場の対称 性を仮定し，胴体と右翼だけを含む領域で並進3 自由度，回転1 自由度(ピッチング回転のみ)の計算を行っている．しかし，旋回 や横滑りなどの運動を調べるためには，胴体，右翼および左翼を 全て含む領域において，並進3 自由度，回転3 自由度の運動を調 べることが必要である．