非定常特徴構造抽出による遷音速バフェット現象の機構解明

摘要

航空機で運行時に迎角を上げるとバフェットと呼ばれる機体の激しい振動が発生し，機体の安全な飛行に差し障りが生じる．これは高速飛行中に生じる衝撃波と剥離渦が相互作用することによる自励的な圧力変動に起因すると言われており，その予測のためには，遷音速域での高精度な数値流体計算が必要となり，計算コストの面からも容易ではない．このような流体振動を司る特徴構造を抽出できれば，それにあわせた解像度の設定，計算手法の設計などが可能になり，将来的な予測制度の向上を期待できると考えられる．一方，東北大学情報科学研究科，量子アニーリング研究開発センターでは，データ解析においてスパースモデリングによる良質な基底関数の取得に関する研究を実施している(Otsuki, J. et al., 2017)．このような航空宇宙工学的課題に対して，データ科学の観点から新しい解析手法を適用し，本解析で得られた新知見を，波及効果の高い計算技術開発に生かしたいと考えている．