指関節拘縮へのパワーアシストハンドを用いたリハビリ効果

摘要

厚生労働省の「平成26 年 患者調査の概況」によると，脳血管疾患の後遺症に対して継続的な治療を受けていると推測される総患者数は117 万9,000 人である1)．脳血管疾患の後遺症として多いのは片麻痺であり，高齢者の介護が必要となる原因の第1 位である2)．後遺症として，上肢にみられる障害は，肘関節，手関節および指関節の屈曲である．障害のレベルは，脳の損傷部位や程度により個人差が現れる．麻痺は，全く動かせない状態の完全麻痺と，多少でも動かせる状態の不全麻痺がある．介護保険制度では，麻痺の状態によって，要支援1～2 から要介護1～5 の段階に区別しており，片麻痺を回復させるためには，自立機能回復を目的としたリハビリテーション（以下，リハビリ）が必要である．リハビリの内容は，患者の障害のレベルや症状の程度によって異なるプログラムが組まれている．自立機能回復のためには，リハビリを長期に渡って実施することが有効であるが，病院のみでリハビリを継続して行うことは困難であり，自宅等で行う自主的なリハビリが必要となる．そのためには，日常生活の中で障がい者個人でリハビリが行える装置の開発も必要となり，現在いくつかのリハビリ機器が開発されている．