コイルばねを用いた３次元免震に関する研究

摘要

日本では東北地方太平洋沖地震(2011)などに見られる海溝型地震と，兵庫県南部地震(1995)などに見られる活断層型地震の2 種類が発生している．大規模な地震による被害は一般家屋のみでなく，産業施設内構造物においても多数報告されている．そのような地震動への対策として免震構造が注目されている．免震構造としては，積層ゴム，転がり支承，摩擦支承，空気浮上ベアリング機構等を利用したものがあり，これらは系を長周期化することによって地震荷重の伝達を低減させている．しかしながら，これらの免震構造の多くは水平地震動のみに対応したものである．兵庫県南部地震では上下方向に強い地震動を受けたことでコンピュータシステムの転倒や破損が生じ，新潟県中越地震(2004)では強い上下動のために文化財が半数以上破損した他，半導体製造装置では装置が空気ばねで支持されているために地震動の鉛直成分にも応答しやすいこと等，水平方向の免震だけでは不十分であり，上下方向にも対応するような3 次元免震装置に関する研究がなされている．このように，現在では水平の2 方向と鉛直方向を同時に免震可能な3 次元免震装置の開発が求められている．