非線形回路からのダンピングを考慮した振動発電素子の電気機械的特性

摘要

近年, IoT(Internet of Things)を導入し, 建物や自動車, 人体などに無線センサを取り付け, 情報を収集, 活用することで, 安全性や効率性を向上させる試みが検討されている. IoT に用いられる無線センサは, 環境情報を取得するセンサ, 情報を送信する無線機器, プロセッサ, 電源で構成される. しかしながら, その無線センサの電源確保が問題視されている. 現在, 電源に電池が使用されているが, 寿命が数年程度と短いため, 定期交換が必要である. 将来的に無線センサの需要が急増するという予測から, 定期的な電池交換は現実的ではない. そこで,交換不要の電源として, 環境中に存在する微小なエネルギ（振動/光/温度差など）から電力を得る環境発電（エナジーハーベスティング）が注目されている. 特に, 振動エネルギを利用した振動発電は, 建物や, 道路, 橋, 車など様々な場所に適合しているため, 注目を集めている. 現段階では, 振動発電のエネルギ変換手法として,圧電型, エレクトレット型, 磁歪型, 電磁誘導型がある. 以降, 本稿では, 小型化と高発電密度が特徴の圧電型を扱う.