風力発電施設への着雷事例を用いたELF 帯電磁波観測により遠隔推定 された落雷電荷モーメントおよび落雷電荷量推定精度の検証

摘要

風力発電施設に着雷した8 事例に対して，ELF 帯トランジ ェントの磁界観測からインパルス推定法および，新たに導入 したI(t)ds 積分手法により電荷モーメントを遠隔導出した。 その結果，I(t)ds 波形積分手法によるQds 推定値は，風車で の電荷量実測値との相関が非常に高く(R>0.9)，従来手法より も高い精度でQds を導出できることが示された。また，気象 庁客観解析データより取得した-10 °C高度の情報を用いて， 電荷量Q を推定した。その結果，電荷量実測値と高い相関が あることが示されたが，ELF トランジェントから推定したQ の方が実測値より2.3 倍程度大きいことが示された。この原 因として，今回解析した落雷イベントの過半数が正極性で， 落雷が-10 °C高度より高い上部正電荷領域から発生したため， 実際の雷道距離ds が仮定よりも大きかった可能性が考えら れる。