RC構造物の検査のための非破壊検査方法(4)：1.非破壊·局部破壊試験によるコンクリート構造物の品質検査に関する共同研究－電磁波レーダ法 その4 電磁波レーダ法での非破壊による比誘電率推定とかぶり厚さの推定精度

摘要

コンクリート構造物のかぶり厚さを電磁波レーダ法で測定する場合，コンクリートの比誘電率を的確に設定する必要がある。 これまで，非破壊により比誘電率を推定する方法として，交差する鉄筋の内部の部分的な値を用いて算出していたが，本研究では表面から鉄筋までの比誘電率の分布状態を推定し，かぶりを算出する方法を検討した。 結果，実測かぶり厚さに対して約10％以内の誤差でかぶり厚さを推定できることが分かった。 鉄筋コンクリート構造物で鉄筋のかぶり厚さを確認することは，設計値との整合性の確認，維持管理の面で非常に重要である。 電磁波レーダ法でかぶり厚さを精度良く測定するためには，コンクリートの比誘電率を的確に設定する必要がある。 そこで，非破壊により比誘電率を推定する方法として，コンクリート内部で交差する鉄筋のかぶり差を利用する方法を検討してきている。 これまでの方法は，コンクリート内部の鉄筋が交差する位置（深さ）の部分的な値を代表値として用いていた。 しかし，この方法では，コンクリート表面から鉄筋位置までの比誘電率が変化している場合，適切に構造物の状態を表わすことができず，結果として内部の含水状態の変化が大きい構造物におけるかぶり厚さ推定値の誤差の原因となっていた。 そこで，表面からの鉄筋位置までの比誘電率の分布状態を推定し，かぶり厚さを算出する方法を検討した。 また，このかぶり厚さ算出結果を用いて，実構造物を検査する状況を想定し，配筋状態の確認を行った。