構内走行試験による鉄道車両の台車振動予測手法の検討

摘要

走行中の鉄道車両から台車部品が落下する事象が発生する場合がある．落下の原因はさまざまであるが，締結ボルトの緩みや，部品に発生する応力による疲労破壊を引き起こす走行振動が大きな要因になっていると考えられる．台車部品に求められる耐振動特性については，日本工業規格に定められており，規格内に規定される振動加速度の値は，「世界中の関係機関から提供された実際に運用されている鉄道車両の実測値から得たもの」とされているが，あらゆる部品の振動状態が直接測定されているわけではないと推察される．また，規格では機器そのものから発生する振動については対象外とされているなどの背景もあり，実走行時に台車部品がおかれる振動環境を把握することは重要な課題と言える．しかしながら，走行時の台車振動測定は営業線を使用することから容易には実施できないため，できるだけ簡便に振動状態を推定して評価する手法の開発が望まれる．