CAT-Ⅲ GBAS（地上型補強システム）プロトタイプの開発と磁気低緯度地域における検証

摘要

高い安全性が要求されるGNSS によるCAT-Ⅲ精密 進入の実現は、将来の4 次元航法の実現に向けた GNSS 運航への移行に向けて重要な要素となってい る。現在その実現が期待されている唯一の国際標準 の原案として取りまとめられているGAST-D では、 電離圏遅延の空間勾配に起因する安全性への脅威の 軽減策の有効性を含む運用検証が重要課題となって いる。具体的には、GAST-D では地上装置に加えて 機上装置にも電離圏異常の検出機能を具備し、地上 と機上で連携して電離圏脅威を軽減策することとし ている。電子航法研究所はこの原案の検証と日本の 環境下における安全性評価に係る要件を明確にする ため、ICAO を通して国際的なGAST-D 検証活動に 参画してきた。そこでは、GAST-D 地上装置のプロ トタイプの開発とともに機上評価装置を開発して飛 行実験を含む評価等を新石垣空港で実施した。これ は、欧州および北米が磁気中高緯度地域で検証して いるのに対し、日本の検証活動は世界で唯一、欧米 とは電離圏環境が大きく異なる磁気低緯度地域での 実施であり、世界全域で利用可能なGAST-D の妥当 性検証に貢献するものである。これまでの解析によ り、地上プロトタイプの基本性能や、電離圏空間勾 配モニタの実現可能性について概ね良好な結果が得 られている。また、世界で初めて電離圏擾乱時の GAST-D 飛行実験を実施し、機上電離圏異常モニタ であるDSIGMA出力値の増大がプラズマバブルによ るものであることを確認する等の成果を得ている。 ICAO におけるGAST-D SARPs 原案の運用検証にお いては電離圏脅威の軽減策に関するいくつかの継続 項目があるが、引き続きこれらに取り組hでいく予 定である。