バーチャルリアリティにおける力覚提示のためのウェアラブル型ハプティックインターフェース

摘要

家庭用コンピュータやインターネット，モバイル端末の普及により，バーチャルリアリティ(VR/仮想現実感) の利用が進hでいる．VR とは，グラフィックスや音響効果などを組み合わせることで，人工的に現実感を作り出す技術である。その中でも特に、力覚を提示することでVR の現実感を高める技術をハプティックと呼ぶ。ハプティックデバイスの実用例として，手先に力覚を提示するPHANToM やNovint Falcon などが存在する．これら装置は簡単に利用できるが，据え置き型なため，利用場所が限定されるという欠点がある．様々な場所で使用するには，デバイスがウェアラブル（着用可能）であることが望ましい．ウェアラブルな外骨格型ハプティックインターフェースの研究も行われているが，これらは金属製のスレーブロボットと強力なアクチュエータを用いたものが中心であり，大型で重いため，装着が快適とは言えず，また安全性にも問題がある．人間が装着することを考慮すれば，ウェアラブルデバイスは小型で軽量，安全に使用できることが重要である．著者らによって，上記のような条件を満たすウェアラブル型ハプティックインターフェース「FlexTorque」が開発された．本インターフェースは，小型で軽量な装着型デバイスを用いて人間の肘関節運動を再現し，装着者の前腕に力覚提示を行うものである．本稿では，「FlexTorque」の問題点を上げ，その改良型インターフェイス「FlexTorque II」の開発について記述する．応用例として，VR 環境への没入感を高める目的だけでなく，ウェアラブルという性質を活用し，パワーアシストデバイスとしての利用も検討している．