人工光型植物工場におけるリアルタイム水収支IoTシステムの構築

摘要

近年，農業従事者の人手不足や高齢化が問題となっている日本の農業において，農作物の安定供給および品質の安全性を確保することが求められている．その解決策の一つとして植物工場が注目されている．植物工場は，光強度·温湿度·CO_2等植物に適した環境に制御することで，天候·温湿度等の影響を大きく受ける従来の農業に比べ高効率で農作物を生産できる．植物工場には植物の生育に必要な光源に太陽光を用いる”太陽光型植物工場”とLED等人工光を用いる”人工光咽植物工場”がある．従来の植物工場は環境制御が積極的に導入されている一方で，植物の生育状態·生育速度の計測はシステム化されておらず，未だに農業従事者の手を必要としている．また，植物工場における環境制御は理想的な生育環境に沿って行われるため刻々と変化する植物の状態変化には対応していない．そこで本研究では，人工光型植物工場を規範とした小規模の人工光型植物育成プラットフォームを開発を行い，人工光型植物工場における水収支をリアルタイムに計測するIoTシステムの構築を行い，使用例として小松菜で水収支の生育過程における蒸散量変化の観察結果について以下に報告する．