大電力無線伝送·位置センシングの同時実現における諸問題の特定と解決方法の提案

摘要

近年，効率化，省人化などを目的として，AGVのような搬送用移動ロボットの需要が増加している．AGVでは，バッテリへの電力配給および，可変環境に対応したナビゲーションが必要である．そのため，給電と位置センシングの機能を整える必要がある．給電方法としては，モバイル性向上のため，ワイヤレス電力伝送が盛hに研究されている．マイクロ波·レーザを用いた方式では，広い有効範囲を有するが電磁波の拡散により伝送効率が低く，電磁誘導を用いた方式では，伝送効率が高いが有効範囲が非常に狭い．そこで近年，電磁誘導より広範囲において電力伝送可能な，磁界共振結合を用いたワイヤレス電力伝送が注目されている．位置センシング方法としては，いくつかの方法があるが，いずれも欠点を有している．テープを床に張りそれを判別して行う方法は，工場のレイアウトの変更やコース変更に柔軟に対応出来ないといった問題がある．また，カメラや，レーザを用いるものは遮蔽時にはセンシングが行えなくなってしまうという欠点がある．そこで著者らは，空間側に埋め込まれた磁界共振結合を用いたワイヤレス電力伝送のシステムを位置センサとして転用するという新しいシステム研究を開発した．これにより，問題になっていた柔軟性や遮蔽時のセンシングを別デバイス無しで解決出来るようになる．